1. なぜ詳細な入力が必要なのか
FIRE後の資産推移は、現在資産と生活費だけでは決まりません。FIRE前の積立、公的年金、退職金、iDeCo、住宅ローン、FIRE後の収入や積立など、開始時期の異なる収入・支出が重なります。
そのため、まず最低限の条件で全体像を確認し、その後に個別条件を追加して試算精度を高める方法がおすすめです。
最初からすべてを正確に埋めようとせず、大まかな試算、個別条件の追加、保守的な条件での再試算という順番で進めます。
2. このシミュレーターで入力できる主な条件
NISAを本人・配偶者別に入力
現在評価額、累計投資額、毎月積立額、満額後の特定口座積立額を分けて設定できます。
特定口座の元本を入力
現在評価額に加えて投資元本を入力し、取り崩し時の概算税率計算に使用します。
iDeCoの受給方法を選択
一時金、年金、併用を選び、受給開始年齢や受給期間を設定できます。
月単位で時期を設定
現在、FIRE開始、試算終了を年齢と月齢で設定できます。
FIRE後の収支を入力
生活費、継続収入、公的年金、退職金、ローン返済を設定できます。
FIRE後の積立を設定
NISA、特定口座、iDeCoへの積立と、その原資の扱いを選択できます。
イベント時収支を設定
特定の年齢に発生する一時的な収入・支出を、金額とメモを付けて複数登録できます。
現在年齢に合わせて資産状況を更新
基本条件の現在年齢から指定年齢までの資産状況を試算し、計算結果を確認してから入力項目へ反映できます。
各項目の詳しい計算方法や制度との違いは、FAQ・計算ロジック専門ページで確認できます。
3. 【実践】FIREシミュレーターの入力手順
以下の順番で入力すると、項目間の関係を整理しやすくなります。
Step 1
まずは最低限の条件で試算する
最初は次の項目を入力し、おおまかな資産寿命を確認します。
- 現在年齢と経過月
- FIRE開始年齢と月齢
- 試算終了年齢と月齢
- 現在の資産額
- FIRE開始時の毎月生活費
総資産だけで概算する場合は簡易版、NISA・特定口座・iDeCo・年金・退職金・ローンを分ける場合は全体版を使用します。
Step 2
現在の資産状況を入力する
- 現在の現金等保有額
- NISAの現在評価額
- NISA累計投資額
- 特定口座の現在評価額
- 特定口座の投資元本
- iDeCoの現在評価額
NISAと特定口座の現在評価額は、値動きを反映した現在の金額です。累計投資額や投資元本とは別の項目です。
Step 3
FIRE前の積立条件を入力する
- 現金等の毎月貯蓄額
- 本人・配偶者のNISA毎月積立額
- NISA満額前の特定口座積立額
- NISA満額後の特定口座積立額
NISA満額前の特定口座積立と、NISA満額後に切り替える特定口座積立は別の入力欄です。
Step 4
運用・物価の前提を入力する
- 金融資産の想定利回り
- 現金等の想定利回り
- 生活費の上昇率
- 特定口座取り崩しの概算税率
現状に近い条件に加えて、利回りを下げる、生活費上昇率を上げるなどの保守的な条件でも確認してください。
Step 5
年金・退職金・iDeCoを入力する
公的年金は入力方式を選択し、毎月の手取り見込額と開始年齢を入力します。「受給額(手取り)と開始年齢から計算」を選択した場合は、繰上げ・繰下げ後の毎月受給額を入力します。「65歳の受給額と開始年齢から計算」を選択した場合は、65歳時点の毎月受給額を入力し、開始年齢に応じた受給率を自動計算します。退職金は手取り見込額と受取年齢を入力します。
iDeCoを利用する場合は、現在残高、毎月掛金、積立開始年齢、受給開始年齢、受給方法、受給期間、併用時の一時金割合、iDeCo専用の想定利回りを入力します。
シミュレーター画面の「年金入力方法」を確認してください。制度とツール仕様の違いはFAQの年金項目で説明しています。
Step 6
住宅ローンを入力する
FIRE後も返済が続く場合は「FIRE後のローン返済を考慮する」を有効にし、毎月返済額とFIRE後の返済期間を入力します。
毎月生活費に住宅ローン返済額を含めたうえでローン欄にも入力すると、同じ返済を二重に計上します。
Step 7
イベント時収支を入力する
特定の年齢に一度だけ発生する収入または支出がある場合は、「イベント時収支を利用する」を有効にします。
- イベントが発生する年齢
- 収入または支出
- 金額
- 内容を識別するためのメモ
複数のイベントを登録する場合は「追加」を押します。登録したイベントを取り除く場合は、該当行の「削除」を押します。
毎月生活費やローン返済額に含めている支出を、イベント時支出にも登録すると同じ支出を二重に計上します。
Step 8
FIRE後の積立条件を入力する
FIRE後も積立を続ける場合は、本人・配偶者NISA、特定口座、iDeCoの毎月積立額を入力し、積立原資の扱いを選択します。
- 収入の範囲を超えた場合は、積み立てを行わない
- 収入の範囲を超えた場合は、現金等を取り崩して積み立てを行う
- 特に考慮せず設定した値を積み立てる
3つのモードの正確な挙動はFAQのFIRE後積立で確認できます。
Step 9
結果を確認する
入力が完了したら「シミュレーションを更新」を押します。初回表示時は、シミュレーション結果、グラフ、FIREレポートを表示しません。最初に「シミュレーションを更新」を押した後は、入力値を変更すると結果を自動更新します。
- FIRE開始時総資産
- 試算終了時点の総資産
- 資産寿命と資産枯渇年齢
- 最高資産額と総取崩額
- 現金等、NISA、特定口座、iDeCoの推移
- ローン残支払額と参考純資産
- 収支差額、資産取崩額、未充足
4. 現在の年齢に対応した資産状況を自動計算する
保存した入力内容を一定期間後に見直す場合は、「現在の年齢に対応した資産状況の自動計算」を使用できます。
- 必要に応じて「保存内容を読込」を押し、前回の入力内容を復元します。
- 「現在の年齢」と「現在の年齢の経過月」に、更新後の年齢を入力します。
- 「計算」を押します。
- 計算結果表示エリアで、変更前と変更後の値を確認します。
- 内容に問題がなければ「計算結果反映」を押します。
- 反映後の入力内容を確認し、「シミュレーションを更新」を押します。
「計算」を押した時点では、既存の入力項目は変更されません。「計算結果反映」を押した場合に、現在年齢と資産状況の入力項目へ反映します。
現在入力されている利回り、積立額、収入・支出などの条件に基づく試算値です。実際の残高が分かる場合は、計算結果と比較して必要な入力値を調整してください。
5. 公的年金を入力するときの確認ポイント
本体の公的年金欄には、原則として毎月の手取り見込額を入力します。早期退職を予定している場合は、現在の働き方を継続する前提の見込額をそのまま使わず、退職後の加入条件を反映した金額を確認してください。
- 本人と配偶者それぞれの見込額を確認する
- 早期退職後の加入条件を反映する
- 受給開始時期を確認する
- 税金・社会保険料を考慮した手取り見込額へ調整する
- 世帯合計の月額を入力する
本体の年金開始年齢は世帯で1つです。開始時期が異なる場合は、年金額や開始年齢を変えた複数パターンで影響を確認してください。
年金の制度説明、繰上げ・繰下げと本体計算の関係、夫婦入力の制約はFAQ・計算ロジック専門ページで説明しています。
6. シミュレーション結果の見方と見直し方
資産寿命と資産枯渇年齢
試算終了年齢まで資産を維持できるか、途中で資産が枯渇するかを確認します。資産枯渇年齢だけでなく、その前後の収支差額や未充足も確認してください。
資産の内訳
総資産だけでなく、現金等、NISA、特定口座、iDeCoがどの順番で減っているかを確認します。取り崩し順序を変更すると資産内訳の推移が変わります。
結果を比較するための条件
| 確認パターン | 変更する項目 | 確認する目的 |
|---|---|---|
| 標準条件 | 現在の想定に近い利回り・生活費 | 計画の基準を作る |
| 保守条件 | 利回りを下げる、生活費上昇率を上げる | 前提悪化への耐性を確認する |
| FIRE延期 | FIRE開始を1年単位で遅らせる | 積立期間延長の効果を確認する |
| 収入減少 | FIRE後収入や退職金を減らす | 収入見込みの下振れを確認する |
| 支出増加 | 生活費や臨時支出相当額を増やす | 支出上振れへの耐性を確認する |
入力した条件で試算終了年齢まで資産が残ることを示す判定です。将来の運用成果や支出を保証するものではありません。
7. よくある入力ミス
- NISAの現在評価額と累計投資額を同じ意味で入力する
- 特定口座の評価額だけを入力し、投資元本を入力しない
- 公的年金や退職金へ、手取りではなく額面をそのまま入力する
- 生活費とローン欄の両方に住宅ローン返済額を含める
- iDeCo受給時の税金や控除が自動計算されると考える
- 夫婦の年金開始時期が異なるのに、世帯合計額を最初の開始年齢から入力する
- 簡易版を、NISA上限や税金、年金まで含む詳細試算として扱う
- 65歳時点の年金額を入力しているのに、「受給額(手取り)と開始年齢から計算」を選択する
- すでに繰上げ・繰下げ後の年金額を入力しているのに、「65歳の受給額と開始年齢から計算」を選択し、増減率を二重に反映する
- 毎月生活費やローン返済額に含めた支出を、イベント時支出にも登録して二重計上する
- 「現在の年齢に対応した資産状況の自動計算」の結果を、実際の口座残高として扱う
- 自動計算の「計算」だけを押し、「計算結果反映」を押さずに入力値が更新されたと考える
- 初回表示時に入力値を変更するだけで、グラフやFIREレポートが表示されると考える
- 1つの利回り・生活費条件だけで判断する
不明な項目は、FAQ・計算ロジック専門ページで制度上の説明とこのツールの仕様を分けて確認できます。